NO.254 反骨爺のつぶやき 高村よしあつ

投稿日: 2018/03/22 5:23:28

トランプ米大統領の登場以来、「ポスト真実」という青葉が広がってきた。「ポスト真実」とは、真実を置き去りにして、感情で世論を形成する状況を指している。トランプ氏は、国民の大手メディア不信を利用し、インターネットを使って国民の素朴な感情に訴える「ポスト真実」の発信を続け、支持を広げてきた。

トランプ氏とは逆に、大手メディアの情報垂れ流しを利用しながら、感情に訴え、嘘とごまかしの「ポスト真実」を振り回しているのが、アベ首相である。集団的自衛権の容認は、「積極的平和主義」だと居直り、戦争する国家を目指しながら、真珠湾で「不戦の誓いをこれからも貫いてまいります」とぺろっと言ってのけ、宜野湾でのオスプレイの墜落は、「不時着」とごまかして埋め立てを強行している。

アベ首相の「ポスト真実」は、とりわけ新聞の表題づくりで威力を発揮する。それが「テロ等組織犯罪準備罪」である。「テロはよくない。テロを防止するのなら、テロの準備行為も罰しなければならない」という素朴な感情に訴えようというものである。

しかし、その中味を見れば、ビックリ。日弁連が一貫して反対し、2003年からこれまで三度も廃案になって来た「共謀罪」そのものではないか。刑法では、何らかの犯罪を犯したものが処罰されるのであって、犯罪の相談(共謀)をしただけで処罰されることはない。憲法19条は「思想及び良心の自由はこれを侵してはならない」として、それを保証している。思想の自由を侵す「共謀罪」は、現代の治安維持法であり、アベ政権がこれに固執して三度も出してきた理由もここにある。

治安維持法に苦しめられた国民は、今でも国家賠償を求めている。こんな「ポスト真実」にだまされてはならない。