第97期労働学校② 「マスメディアのあり方」

投稿日: 2013/01/21 1:55:22

第97期労働学校の第2回講座「マスメディアのあり方」が1月16日、広島市社会福祉センターで開かれました。講師は元中国新聞記者の難波健治さん、22人が参加し熱心に聞き入りました。

<難波さんの講演の要旨>

原発事故報道を通して最近の報道を考えると、原発事故報道でメディア不信が極に達したのは「ただちに健康に影響ありません」と繰り返し報道したことだが、これにはパニックを起こさせないとの思いが働いていた。政府さえ原発で何が起こっているか分からない状態で、メディアとして「まだ分かっていない」と勇気をもって言わなかった。「ただちに影響ない」と言いながら記者は本社の指示で現場から逃げた。「ただちに影響ないかもしれないが、いずれある」と言わなかったことが不信を招いた。現場で取材に当たったのはフリーの契約記者、これはイラク戦争の取材のときにも同じ事があった。 そんな報道が生まれる構造として、大手メディアは資本系列化され、新聞社が放送を系列化している。テレビは電波・放送法で政府の認可をうけるため顔色をうかがう、全体として中央のいうことを聞けば経営は安泰となっている。それは大手だけの問題ではなく広島においても中国新聞とRCCなどでも言えることではないか。

メディアを再生するには商品価値を上げる、ジャーナリズムの質をあげる、それは市民の立場から権力を監視すること、少数意見を大切にすること、現場がたたかう覚悟をする、権力に対してメディアが連帯していくこと。外からの働きかけでは、いい記事はほめる、おかしいものは批判する、この点では読者・視聴者が主権者としての成熟度が試される。メディアは市民に守られ育てられるものではないか。