NO.223 反骨爺のつぶやき

投稿日: 2014/09/09 7:05:24

60年安保世代である。大学4年の春、猫も杓子も安保改定反対という騒然とした状況に引きずられて、国会周辺デモに参加した。「岸を倒せ!」と叫ぶ30万人の怒涛のようなうねりに身を浸したことが、世界を変えるのは人民であるとの実感をもたらし、新しい世界観に転換するきっかけとなった。

70年代は、東京、京都、大阪をはじめとし、革新統一による革新自治体が大きく広がるもとで、73年の日本共産党第12回大会で「民主連合政府綱領」が提案され、政治革新の展望が現実的なものとなった時代であった。当時の革新統一戦線は、共産党と社会党との政策協定を軸として結成されるのを常としていた。体制側の危機感は、80年の社公合意になって現れ、以後社会党の統一戦線からの離脱と、共産党排除の「大連合」の時代となる。それを受けて、81年「革新統一を語り要望し、そのために共同して行動する自由な連絡、共同の場」として全国革新懇が結成された。

個人的意見としては、革新懇の運動も70年代の統一戦線の経験を引き継ぎ、事実上「共同の意志」の確認が先行する運動であったように思われる。しかし、いま「一点共闘」という運動をつうじて、共同の意志の確認を前提とすることなく政治革新の根本要求にせまっていく革新統一の新しい形態が生まれつつある。「怒りのドラムデモ」の井手実氏は、最初「反原発」で行動し、その後ヘイトスピーチ、秘密保護法、集団的自衛権を経て、これらの一点共闘が「安倍政権打倒」に発展していることを語っている(7・11付「しんぶん赤旗」)。「デモには抗議の側面はもちろんありますが、いろんな人が出会い、次の動きが育つ場所でもあるんです」。「最初は違う問題で行動していた人々が、今では星座のようにつながりあい、関わりあって」、安倍政権打倒の運動に発展し、これからさらに消費税、TPP,雇用の問題にもつながって行くであろうと、その展望を語っている。

「一点共闘」は、お互いの個々の要求が運動の共同を通じて政治のより根源的問題につながっていることを学びあい、「安倍を倒せ!」という統一戦線的要求に発展しているのである。志位委員長の党創立92周年記念講演での、「『一点共闘』を広げに広げ、それを安倍政権打倒の国民的大運動へと大合流させよう」との訴えは、現実的かつ現代的統一戦線結成の呼びかけと聞いた。

常任理事 高村是懿