NO267 反骨爺のつぶやき 高村よしあつ

投稿日: 2018/05/05 4:54:52

ついに米朝首脳が5月末までに史上初めて会談することに同意した。これまで米朝間の直接対話を求めて来た日本共産党の志位委員長は、これを歓迎し、「いま起こっている『対話による平和解決』の動きを実らせるために力を尽くしたい」と語った。

北朝鮮は、6カ国協議で朝鮮半島の非核化に合意するが、その後核実験を再開、2011年に金正恩氏が総書記になると、核・ミサイル開発が格段に進む。これに対し、トランプ米大統領は軍事力を含むあらゆる選択肢を検討する方針を打ち出し、次第に緊張激化する。米朝間の一発触発の雰囲気の中で、今回の合意となったものである。

孫崎享氏は、「21世紀の戦争と平和」(徳間書店)のなかで、「落下地点を正確に予測できないミサイルが秒速数キロメートルの速度で飛んでくる」のを迎撃するのは不可能だと断じている。そこで核保有大国は、「相手にこちらを殺す能力を与えて、それで攻撃を避ける」という軍事戦略に転換した結果、1990年代から国家間軍事紛争は急激に減少し、2010年頃からゼロに近くなっている。いまや核兵器は無用の長物となって、軍需産業の金儲けの材料になっている。

他方で、国連憲章の定める国際紛争の平和的解決は、ますます重みを増し、核兵器禁止条約も採択されるに至った。その動きと共に、日本国憲法9条は、文字通り紛争の平和的解決を主導する世界の宝となってきた。韓国の文在寅大統領は、3月21日「われわれは朝鮮半島の核問題や平和問題を完全に終わらせなければならない」と並々ならぬ決意を語っている。今度の米朝会談で、その実現に向かうには、どうすればいいのか。カントは、「永遠平和のために」のなかで、「平和とはあらゆる敵意の終末」だと主張している。それを実現するのが、非軍事・非武装の9条に他ならない。