NO.291 反骨の爺 高村よしあつ(顧問)

投稿日: 2020/04/27 3:19:12

新型コロナウイルス感染症は、WHOが「パンデミック(世界的流行)」を宣言した後にも、アメリカ、ヨーロッパで拡大し続け、感染爆発の瀬戸際にまで至っている。日本でも、ロックダウンが叫びはじめられることになった。

アベ政権がとるべき態度は、一つには拡大防止と治療の徹底であり、もう一つは経済対策である。今回のコロナショックは、2008年のリーマンショックとは異なり、金融バブルが崩壊したのではなく、感染拡大を防止する隔離政策によって、ヒトもモノも動かなくなり、生産も消費も大きく後退し、モノづくりという実体経済そのものが混乱し、停滞してしまったことにある。

しかし、アベ政権が今回経済政策として実施したのは、日銀に対し、株価対策として追加の金融緩和政策を実施させるということだけであった。本来、実体経済を立て直すためには、格差と貧困問題を解決し、すべての国民に「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」(憲法25条)を保障すべきであるが、まともな対策は何一つ実施されていない。

今、日本経済のために必要なのは、思い切って、財界・大企業優先の経済政策を国民の命と暮らしを最優先する経済政策に転換し、実体経済そのものを立て直すことである。そのためには、当面、政府の要請で、隔離政策がとられ、仕事と収入を奪われた人々に対して、適切な保障を実施し、合わせて10%に引き上げられた消費税を、5%に引き下げ、国民のふところを豊かにすることが求められている。そして、より根本的には、格差を拡大し、貧困を蓄積してきた、労働者派遣自由化法を撤回させることである。

そのためにも野党連合政権の実現が強く求められている。日銀の追加的金融緩和は、単に株価買い支える金融市場のためであって、実体経済を上向きにするものではない。架空資本が飛び回る金融市場も、実体経済に支えられているのであり、これが「資本論」の教えるところに他ならない。