一粒の麦NO296 反骨爺のつぶやき

  自分では将棋をやらないが、見るのは好きである。何百年も争われていながら、未だに奥義が極め尽くされていないというのも面白い。藤井2冠達成はすごいことだが、彼の揮毫は「探求」であり、真理への探究という人間らしさが、いっそう人を引きつける。

 アベ首相が辞任した。ウソのうえにウソを積み上げ、追い詰められて逃げ回り、逃げ切れなくなっての辞任である。森友問題の出発点は、アベ首相の「お友達」に、国有地を8億円も値引きして売却しながら、「私や妻が売却に関わっていたら総理も国会議員も辞める」とウソをついたところにある。この答弁を受けて、次々と痕跡が消し去られていった。文書改ざんを命じられて、泣いて抵抗しながら、ついに自ら命をたったのが、近畿財務局の赤木敏夫氏であった。妻の雅子氏は「私は真実が知りたい」として訴訟提起したが、首相は口を閉ざしたまま辞任してしまった。

アベ首相のウソはそれに止まらない。「積極的平和主義」がそれである。憲法9条は、前文の永久平和主義の理想を具体化し、自衛ないし制裁のための戦争までも放棄し、軍備を廃止したものである。品川正治氏は、復員船のなかで憲法草案に目を通し、「私は、読みながら突き上げるような感動に震えた。隊員の誰もが泣き出していた。隊長は一番大きな声を出して泣いていた」(「反戦への道」)。品川氏の生き方の原点である。これに対し、「積極的平和主義」とは、アメリカに追随し、集団的自衛権を振り回して、地球の裏側まで戦争に行こうというもの。「積極的平和主義」どころか、「積極的戦争主義」に他ならない。

 しかし、人間には、人間であるがゆえの、人間の本質としての良心がある。ウソをつくことは常に内心にある良心との葛藤という矛盾に陥り、それが高じると心身不調に陥る。アベ首相の辞任もその現れ。いよいよ野党連合政権によって、政治の大元を変えるべきときが来たのだ。あとは旗印をたてるのみ。