NO.287 反骨爺のつぶやき 高村よしあつ(顧問)

投稿日: 2019/12/17 6:11:17

来年1月の第28回党大会に向けて、日本共産党は、綱領の一部改訂を提案した。そのなかで、世界資本主義のもっとも大きな二つの矛盾として、貧富の格差と合わせて、気候変動の問題を指摘している。

「国連気候行動サミット」で、16歳のグレタ・トゥンベリさんの「大人は無限の経済成長というおとぎ話を繰り返すな」、「今のシステムでは解決できないならシステム自体を変えるべきだ」との発言が、大反響を呼んだ。大阪市立大学の斉藤幸平助教授は、ここには「経済成長が必須の資本主義のもとでは気候問題に対処できない」(10・30朝日)とのメッセージがあるとして、気候変動に対するカギは、マルクスの「資本論」にあると主張している。「マルクスは、人間の生活の本質は『自然とのたえざる物質代謝』にある」(同)と考えているが、資本主義のもとでは「人間と自然の関わり合いが徹底的にゆがめられる」(同)からだ、というのである。

史的唯物論は、生産力と生産関係の矛盾が歴史を発展させる、としている。生産力とは、人間の労働が自然に働きかけて使用価値をつくり出す力を意味している。したがって、労働は「人間と自然との物質代謝を、それゆえ人間的生活を、媒介する永遠の自然必然性である」(『資本論』①P749)。

では、未来社会では「人間と自然との物質代謝」はどうなるのか。マルクスは、アソシエイトした生産者たちが、「この自然との物質代謝を合理的に規制し、自分たちの共同の管理のもとにおくこと、すなわち、最小の力の支出で、みずからの人間性にもっとも適合した諸条件のもとでこの物質代謝を行なうこと」(同⑬P1435)と述べている。気候変動問題は、生産力を「人間と自然との持続可能な物質代謝」に変えて、資本主義の矛盾を解決しようというのである。