no.295 反骨爺のつぶやき 高村よしあつ(顧問)

投稿日: 2020/08/22 7:20:40


 「時代を哲学する」に続いて、現在「時代を哲学するⅡ」と題する哲学講座を継続中であり、あと2回を残すのみとなった。現在の「時代」を象徴するものは、何といっても史上最初の出来事である野党連合政権である。それをめぐって、「ヒューマニズムと人間の尊厳」、「現実性と必然性」などのテーマで講義してきたが、次回は「理念と目的」について、語ろうと思っている。いろんな観点から、野党連合政権を見詰めることは、それ自体「時代を哲学する」ことになっている。

さて、ではその後をどうするか。1989年に県労学協を再建してから、ずっと哲学講座を担当してきたから、もう30年を経過したことになる。とくに佐田さんの情熱にほだされて1994年2月からはじめた、「ヘーゲル『小論理学』を読む」は、科学的社会主義の源泉をたどる旅となり、自由と民主主義は、科学的社会主義の本質的構成要素であることに確信を持つことが出来た。となれば、残されているのは『資本論』しかない。

2006年9月に、『資本論の弁証法』を出版した。弁証法を使って、資本主義の生成、発展、消滅という運動を解明しようというものであった。問題なのは、資本主義の根本矛盾を、エンゲルスの『空想から科学へ』に従い、「社会的生産と資本主義的取得」ととらえたことにあった。この定式化は『資本論』には存在しないし、またこの定式化では、資本主義から未来社会への動的発展の諸過程を理論的にとらえることが出来ない。

  そこで、新版『資本論』がでたことを機会に、もう一度10月から、1年かけて「『資本論』を哲学する」と題する哲学講座を始めようと思う。資本主義の根本矛盾を『資本論』にそって解明し、資本主義の必然的没落の過程をより詳しく辿りたいと思う。この1年間、「時代を哲学するⅡ」の講義のかたわら、新しい哲学講座の準備を積み重ね、ようやく講義しうる段階に到達することが出来たのではないか、と思っている。