NO.274 反骨爺のつぶやき 高村よしあつ

投稿日: 2019/01/15 7:48:43

翁長雄志前知事の遺志を引き継ぎ、玉城デニー氏が沖縄知事に当選。引き続き、豊見城市で山川ひとし市長、那覇市で城間みきこ市長が、怒濤の勢いで当選した。いずれも、翁長氏を当選させた「オール沖縄」の候補者である。

自民党員であった翁長氏は、「イデオロギーよりアイデンティティー」という有名となった言葉を残した。アイデンティティーとは、「全く同一であること、一致」を意味している。沖縄では、2007年、沖縄戦で軍の命令である集団自決を教科書から削除する教科書検定問題を契機に、それに反対する「オール沖縄」が実現し、始めて保守と革新が手を結んだ。それを、翁長氏は沖縄県民の「イデオロギー」を超える「アイデンティティー」と表現したのである。 イデオロギーとは、政治的な思想・心情であるが、それを超える「アイデンティティー」とは、思想・信条の根底にある人間の尊厳を認めることで一致することである。

沖縄県民の「アイデンティティー」である「オール沖縄」は、翁長氏のもとでの戦争に反対し、人間の尊厳を守る一点から出発し、デニー氏のもとでの、新基地を止めて「平和で誇りある豊かな沖縄」を実現するところまで前進した。

デニー氏を推す沖縄県民の「オール沖縄」に対し、市民と野党の共闘を積み重ねてきた野党各党は、五野党・一会派が連帯してデニー氏を押し上げた。 こうして、今や「オール沖縄」の共闘態勢は、日本全国に「沖縄に学べ」と呼びかけている。

市民と野党の共闘がこれまでの共闘から一歩前進し、 来年の参院選における全国32の一人区で野党統一候補が実現するならば、与野党逆転も可能な状況となっている。「アベ政権はもうゴメンだ」との叫びは、人間の尊厳を守る「アイデンティティー」となっているのではないのか。