マネジメントが社会のリーダー的存在の一つであると言うことには、重い責任が伴う。そしてその責任を回避することほど破壊的なことはない。しかし同時に、ある階層が自らのものではない責任を引き受けることほど破壊的なこともない。
責任は同時に権限を意味する。一方があって他方がないということはあり得ない。ある領域においてマネジメントに責任を課すということは、その領域において権限を与えるということである。
社会のリーダー的存在としてのマネジメントの社会的責任は、マネジメントが正当に権限を要求できる分野に限られる。
マネジメントは、その卓越性のゆえに権威による権限をもついかなる分野、すなわち責任をもつべきいかなる分野においても、その責任を公益に基づいて果たさなければならない。
企業のマネジメントに対する過大な責任を求める論調に対しては、ここで批判を加えています。
「大学、文化、芸術、報道の自由、外交政策について責任をもつべきであるといわれる。そのような権限は許されない。」とし、責任と権限は分離できず一体なのだから、社会が企業に権限として与えていないものの責任まで負わせてはならないということです。
企業は卓越性を追求し社会においてその強みを発揮していかねばなりませんが、その卓越性を発揮することによって権威として権限をもってしまいます。そういった分野においては、同時に社会的責任も引き受けなければならないとしたのです。
マネジメントは利益を上げなければならないという責任と、社会における責任を同時に引き受けなければならないとして、本書の結論を次のように表現しました。
「最も重要な結論は、社会のリーダー的存在としてのマネジメントの社会的責任とは、公共の利益をもって企業の利益にするということである。」
2013/11/5