連邦型組織に馴染まない機能別の活動も、各単位組織の長に最大限の責任と権限を与えるように組織しなければならない。可能な限り独立した製品やサービスがある場合と同じように組織しなければならない。さもなければ、機能別部門の経営管理者は、事業全体の目標に基づく目標や測定の尺度をもつことができない。
機能別の活動についても分権化が最善の組織方法である。分権化された機能別の単位組織を可能なかぎり小さな規模にするとともに、可能なかぎり広い活動領域をもたせるには、マネジメントの階層を少なくする必要がある。理想的には機能別単位組織の長は事業部長の直属としなければならない。
なぜならば、あらゆる経営管理者が自らの直属の上司が率いる部門の目標の設定に責任をもって参画する必要があるからである。単位組織の目標をすぐ上の部門の目標に従って設定する必要があるからである。
機能別部門が二つ以上の階層を必要とするというのは、そもそもその企業が機能別に組織するにはあまりに大きすぎるか複雑すぎるからである。したがって可能なかぎり連邦型組織を導入すべきである。いかに分権化したとしても、機能別組織では、事業に必要な組織上の要請に応えることはできないからである。
連邦型組織を採用する場合、その単位組織には独自の市場があるとか独自の利益計算ができるようになっている必要がありますが、前のセクションで述べられているように、あまりに小規模だったり独自の市場を設定できない場合には、機能別組織によらざるを得ない場合もあるとその限界を述べていました。
そうはいっても、機能別組織には最大限の権限と責任を与える分権化された組織としなければならないとしているのです。
機能別組織は、その活動が事業全体のコストにしかならないというケースもあり、一つの機能に特化する専門家集団のようになってしまう傾向があります。
その階層が二つ以上になってしまうと、事業全体の目標と自部門の目標が遠くはなれてしまい、専門的スキルを磨くことを自分たちの価値としてしまうようなことが起きがちです。
このため、機能別組織を採用する場合でも、可能なかぎり階層を少なく、理想的には階層化しないように組織すべきだとしているのです。
やむを得ず機能別組織を階層化しなくてはならない場合の注意点を次のように述べています。
「機能別部門の単位組織は単独では何事もなしえない。必要な活動をすべてカバーし、協力すべき領域を明確化するために、各単位の端の部分を互いに重複させることが必要となる。個々の経営管理者の個性や能力に従って調整する余地を残しておく必要がある。言い換えれば、機能別の単位組織間の屋根瓦的な関係には、柔軟性が必要である。」
2013/8/20