昇進は、意欲と心情に意味をもつ。したがって、優れた組織の文化を生み、企業が大きな成果を挙げられるようにするための適切な昇進制度が必要である。
昇進は常に実績に基づいて行うべきである。よく見られるように、仕事のできない者を異動させるために棚上げ式に昇進させたり、逆に仕事のできる者を「いなくなったら困る」という理由で昇進させなかったりすることほど有害なことはない。
これらのことを防ぐためにも、昇進についての決定は、常に一段上位のマネジメントによってチェックする必要がある。
卓越した仕事ぶりへのフィードバックとして、報奨や昇給、肩書きなどを説明してきましたが、やはり一番大きく本人の意欲に訴えるのは昇進でしょう。
前のセクションでは全員を昇進させることができるわけではないので過大視してはならないとしていましたが、それでも昇進制度は実績に基づいて適切に運用しなくてはならないと、このセクションで述べています。
よくある例として、技術、営業、経理といった事務系の人が特に昇進が早いということでは、現場で組織全体の成果を支えている人たちの士気をそいだりするので、結局は人的資源を無駄にすることになるとも述べ、あらゆる分野に目配りすることの重要性を説いています。
昇進試験制度をとる組織も多いですが、試験についてドラッカーは特に説明をしていません。昇進の原則は実績に基づいて行うべきだとしているので、試験制度をとる場合であっても、試験の成績はより大きな仕事をしたいという昇進意欲の現れとして評価し、その人の行った仕事そのものの評価を中心におくべきなのだと思います。
2013/7/25