マネジメントの構造を規模の基準として採用するならば、企業の規模には少なくとも四つないし五つの段階がある。
第一の段階が小企業である。個人企業と異なり、小企業では社長と従業員の間にマネジメントの階層が一つ存在する。小企業では、トップマネジメントの仕事のうち、目標の設定と業務の遂行のいずれもそれだけを行う専任者を必要とするわけではない。トップマネジメントは事業全体のマネジメントと、販売や生産など特定の機能のマネジメントの双方を行うことができる。
第二の段階は、最も一般的でかつ最も難しい中企業である。中企業ではトップマネジメントの仕事のうち、業務の遂行に関わる仕事には専任の人間を必要とする。目標の設定という仕事は、機能別部門の長たちからなる委員会が行った方が良い。組織の構造に関しては、連邦型組織の原理の適用が可能となる。
第三の段階は大企業である。トップマネジメントの仕事のいずれか一つはCEOのチームによって遂行することが必要となる。それらの仕事はあまりに大きなものとなり、何人かで分担することが必要となる。大企業では常に、組織の原理として連邦型組織が優れている。
第四の段階は巨大企業である。巨大企業ではトップマネジメントの仕事はチームで行うことが必要な上、メンバーは専任であることが必要となる。巨大企業は必ず連邦型組織の原理によって組織する必要がある。
企業規模としては、小企業➡中企業➡大企業➡巨大企業と四つの段階の特徴をそれぞれ紹介しています。
小企業となる手前に個人企業があるのですが、個人企業の例として「一人が販売を担当し、一人が生産を担当するというパートナーシップは個人企業である。職長が何人いたとしても、仲間内のリーダーであるにすぎない場合は個人企業である。」としていますので、マネジメントの組織を必要としないレベルを個人企業としているわけです。
ドラッカーのいう小企業になると、必ずマネジメントの組織が必要といっています。ただし専任者をおく必要はそれぞれの企業によって異なるでしょう。
中企業は最も難しいとしていますが、それは、機能別部門あるいは専門職とトップマネジメントとの間にマネージャーの階層が多くなると、セクショナリズムが蔓延するようになり、企業全体の目標と乖離した機能別部門の目標を持ち始めてしまうからです。したがって、可能なかぎり連邦型組織を目指すべきとしているのです。
2013/8/25