マネジメントの仕事はすべて、それ自体を働きがいのあるものとすべきであって、次の昇進のためのステップとさせてはならない。
かなりの人たちにとって、現在の仕事が定年や死ぬまでの地位になるおそれがある。したがってあまりに昇進を強調するならば、5人のうち3人から4人は不満を持ち、士気を失う。あるいは、同僚を犠牲にしてでも昇進したいという間違った競争心を生む。
昇進を強調しすぎないようにする方法の一つは、現在の仕事において卓越した成果を上げた者に対し、昇進によって得られる報酬の増加分に匹敵する額を給与に加算することである。
しかし、金銭的な報酬がすべてではない。企業であれその他の組織であれ、経営管理者であれ一般従業員であれ、社会的な地位と誇りという形での報奨を必要とする。
全体の成果に対する貢献に明確な基準を持って評価し、評価結果をフィードバックする方法として、報酬以外に昇進という方法があります。
ここもまた、極端にすぎると士気を失う人が出てくるので、昇進と昇給のバランスをとりなさいと言っているのです。
最後の段落にある社会的な地位と誇りというものについて、ドラッカーは肩書きだって大事なんだと次のように述べています。
「GMやGEの事業部長はそれぞれの業界においてリーダー的な地位にある事業をマネジメントしているが、肩書きは事業部長であるにすぎない。これに対し、中小企業の長は社長であって、企業を率いる者ととしての地位と尊敬を得ている。大企業の人間にもその責任と重要性にふさわしい肩書きを与える必要がある。事業部長をプレジデントと呼び、事業部のトップマネジメントのメンバーをバイスプレジデントと呼ぶことを考えても良い。そのように呼ぶことによる、彼らの誇り、動機づけ、組織の文化への影響はきわめて大きい。」
2013/7/24