それでは、このCEOチームの組織化はいかに行うか。
第一に、それは委員会ではなくチームである。メンバーのそれぞれが担当する領域をもつ。責任は共同ではない。チームのメンバーはそれぞれに責任をもつ領域をもち、それぞれの領域でそれぞれに最終的な意思決定を行う。問題の検討はともに行うが、決定は単独で行う。
既に述べた事業の八つの領域について目標を設定する責任とともに、事業上の意思決定がそれらの目標に与える影響を検討する責任の所在は、明確に定めておく必要がある。それらの責任はCEOチームのメンバー全員が分担しても良いし、副社長たちからなる常務会の責任としても良い。
第二に、CEOチームのメンバーは、他のメンバーに干渉してはならない。担当するメンバーの一人が行う意思決定が、トップ全体の意思決定となる。
もちろんこのことは、チームの主将に当たる者が不要であるということではない。主将は必要である。しかし、主将の立場にあるものは、他のメンバーを支配したり、干渉したり、自らの優位性が他のメンバーの劣位性を意味することのないよう、細心の注意を払う必要がある。
では、CEOチームのメンバーは何人とすべきか。少ないほどよいが、3人以上である必要はある。
二人のチームは不安定である。CEOチームの経験豊かなある人は「二人しかいないと小さな意見の違いが危機につながる。もう一人いれば、二人が互いに口をきかなくなっても機能できる。」と言っている。
CEOの仕事は実に多岐にわたり一人が行うのはとても無理なので、チームで行わなくてはならないとし、このセクションではどんな原則に基づいて組織を作るかについて解説しています。
そのチームのメンバーはそれぞれ責任領域が明確に決まっていて、メンバーの意思決定はチームの最終的な決定としなければならないとしています。CEOチームの意思決定が合議制であったり、社長が最終責任を負うという形になっていると、結局は前のセクションで述べたような取り巻きによる側近政治に寄っていってしまうからです。
さて、組織の仕方についてドラッカーは次のように述べています。
「チームの組織の仕方は、野球型とテニスのダブルス型がある。どちらを採用しても良い。野球では、選手はそれぞれの定位置をもち、メンバーの担当間に線が引かれる。初めて参加する者でもプレーできるが、強い相手には穴を狙われる。テニスのダブルスでも、選手はそれぞれの責任の領域をもつが、常にパートナーをカバーする。協力しあう選手が自分たちで担当間に線を引いていく。勝てるようになるには何回か組んで経験を積む必要がある。互いに知り合い、信頼を培うことによって穴をなくす。」
野球にしろテニスにしろボールは一個ですから、プレーの瞬間にボールを触っている人が、チームの最終責任を取るプレーをしているという意味で、CEOチームも似ているということなのでしょう。ただ、テニスの場合には、野球よりもメンバー間の信頼関係と柔軟性がより必要になるということを述べています。
ただ、上記の最後の段落で述べているように二人のチームは不安定だということですから、テニスのダブルス型であっても、3人以上でチームを組むべきということです。
2013/8/2