マネジメント的視点

第四に、働く人はマネジメント的な視点を持つときにのみ、すなわち企業全体の成功と存続に責任をもつ経営管理者のように企業を見るときにのみ、最高の仕事を目指して自らの責任を果たすができる。そのような視点は、参画を通じてのみ獲得できる。

仕事に対する誇り、自らの重要度についての認識、仕事における達成感を与えることの重要性が盛んに論議されている。しかし、誇りや達成感は与えることはできない。自らを重要であると感じさせることもできない。

誇りや達成感や自己重視の基礎となるものは、自らの仕事についての意思決定や、自らの属する職場コミュニティの運営に対する積極的かつ責任ある参画だけである。

実際に仕事をする者が最初から仕事の設計に参画するとき、よりよい設計が行われることを示す証拠は無数にある。

最高の仕事を引き出すためには一人ひとりに責任をもたせることが必要で、責任をもたせるための四つ目の方法がこのセクションで述べられる「マネジメント的な視点を持たせる」ことです。

それは、仕事をどのようにやるのか、どんなスピードでやるのか、どこでやるのかなどについて、つまり仕事の設計に仕事をする本人たちを参画させることだと結論づけています。

どのように仕事を組織するのか、仕事を設計するのかについては、多くの場合マネジメントの役割とされています。例えば工場での仕事と生産設備の設計や調達は生産管理部門が行うとか、販売管理システムの導入はCIOが決めるなどといったようなことです。

現場は日常の業務が忙しいのだから仕事の設計などやっている暇はないからとか、余計なことをさせたら現場の生産性を落としてしまうからといった言い訳のもとに、科学的管理法の「計画と実行は分離していなければならない」という常識を鵜呑みにしてはいけません。

そのような科学的管理法のマイナス面を迷信として信じることなく、現場を巻き込んで仕事の設計をすることが、ひいては一人ひとりの仕事に責任をもたせることになるのだと説いたのです。

2013/9/27