連邦型組織を成功させるには、単位組織の規模、独立性の程度の関わらず、守るべき原則が5つある。
連邦型組織では、中央と分権化された単位組織の双方が強力である必要がある。分権化という言葉は、きわめて誤解を招きやすい。中央を弱体化させる響きがある。連邦型組織では企業全体の観点から、中央が明確な目標設定を行うことによって、単位組織に強力な方向づけを行う。それらの目標があらゆる部分に対し一流の仕事ぶりと高度の行動規範を要求する。
単位組織は、自らのマネジメントを維持できるだけの規模をもたなければならない。可能なかぎり単位組織を多くし、それらの規模を小さくすることが望ましい。どこまで小さくすると小さすぎるのかは、事業によって異なる。シアーズの小さな店舗に必要なマネジメントは、店長一人と売り場主任数人にすぎない。しかし、大量生産の金属加工業に王手は、年間売上げ1000から1200万ドルに達していなければ必要なマネジメントを支えることはできない。
単位組織は、それ自体が成長の可能性をもたなければならない。安定した事業を一つの単位組織にまとめ、将来性ある事業を別の単位組織にまとめるなどという組織の仕方は拙劣である。
単位組織の経営管理者には、広い活動領域と挑戦の機会を与えなければならない。特にイノベーションのための責任を与えることが必要である。さもなければ、日常の定型的な仕事しかできなくなる。
あらゆる組織単位が、自らの事業、市場、製品をもち、対等な立場に立つ必要がある。重複する領域では互いに競争関係にある必要がある。しかも例外的な場合を除き、共同して事業を行ってはならない。単位組織間の関係は密接かつ友好的でなければならないが、あくまで取引関係としての関係でなければならない。一方が扶養し他方が依存せざるを得ない場合においても、「実施拒否権」を与えることが必要である。
二つ目の、単位組織の規模についてドラッカーはもう一つジョンソン&ジョンソンの例を挙げています。
「同社では単位組織の規模を可能なかぎり小さくしている。シアーズの50人の店舗に匹敵するような、わずか200人というものもある。しかもそれらの単位組織は、自らあらゆる機能をもち、資金調達まで行っている。子会社として完結した事業を行い、それぞれ社長までもっている。」
この例によって最小規模として50人から200人程度と見ていたことがわかります。企業全体としてこれ以下の規模の場合には、単一の事業を行う企業と言うことで無理矢理分割して連邦型組織にするということまでは、やらなくてよいということです。
五つ目の原則にあげた「相互の実施拒否権」については、GMの自動車事業部門と部品事業部門の関係を例に挙げています。
「GMの自動車部門は、安い部品や品質の良い部品を社外から調達できる場合には、部品事業部門から調達しなくても良い。他方、部品事業部門は、より有利な条件で納入できる場合には、自動車事業部門の直接の競争相手に納入してよい。」
こういった関係を公式に認めていることから、各部門が企業の枠を超えて活動を行えるため、直接社会に貢献するという意識を持ち続けることができます。他の事業部に対して単に部品供給するだけの部品事業部とは、責任感と仕事ぶりが全く違うものになると考えられます。
2013/8/18