社会に対するマネジメントの第一の責任は、利益を上げることである。そして、これとほぼ肩を並べて重要な責任が、事業を発展させることである。企業は、社会における富の創出機関であり生産機関である。
企業が十分な利益を生み出さなければ社会が損失を被る。企業がイノベーションや成長に成功しなければ、社会が貧困化する。
同じ理由により、マネジメントは、明日の経営管理者を準備するという社会的責任をもつ。明日の経営管理者なくしては、資源は誤ってマネジメントされることになる。富を創出する能力が破壊される。
マネジメントたる者は、企業の活動が公共の利益を促進するか、社会の基本的信条を前進させるか、社会の安定、力、調和に寄与するかを常に考える必要がある。
本章の最初には「公益を害する可能性があるならば私益を制限することもマネジメントの責任だ」と述べておりましたが、だからといって利益を二の次に考えてよいというわけではなく、やはり第一の責任は利益を上げることだと改めて確認しています。
そしてこのセクションでは、企業が利益を生み出すことは社会にとって必要なことであり、利益に対する反感を解消していくこともマネジメントの責任であるとも述べています。
「なぜならば、利益への反感は、われわれの社会体制や経済体制にとっても重大な脅威だからである。」と、「利益を上げることは悪であり、利益を度外視して社会に貢献することが善」というような誤った認識を改めさせなければならないと考えたのです。
また、企業の寿命が長くなって、社会に対する影響度も大きくなってきていることから、次世代の人材育成も社会からマネジメントに託された責任だとしています。それができなければ、せっかく生み出した富を浪費して、結局は社会に対して重い負担を強いるようなことになってしまうからです。
2013/11/4