多くの産業で資本設備が老朽化しつつある。生産性が向上しているのはいくつかの新産業だけである。その他の産業では、生産性は低下していないとしても停滞している。
われわれに進歩をもたらし、独善と自己満足と怠惰を回避させることができるものは、卓越したマネジメント能力とその絶えざる向上をおいてほかにはない。
本書が書かれたときはまだ、第二次世界大戦終結後10年を経過していません。
ここでドラッカーは、「東西冷戦が長く続く時代には、平時から戦時へと瞬時に移行する能力が国には要求されるから、それに持ちこたえられるように、経済発展を続けなければならない。それらは、特に大企業のマネジメントの能力にかかっている。」という意味の記述をしています。
一つの組織のマネジメント能力が、国の経済発展と繋がっている、ひいては世界全体の行方を左右するということを主張しているのです。
普段の組織内での中間管理職からはとても遠いところの話なので、ちょっと現実味が持てませんが、ドラッカーはそういう末端のマネジメントに対しても、組織の中だけではなく、世界に目を向けよと叱咤しているのかもしれません。
2013/5/9