利益については何を測定するかが問題ではない。何を尺度として測定するかが問題である。
売上高利益率では答えにならない。そのようなものでは製品や事業が、経済的な変動に対しいかなる弱さをもっているかを明らかにしない。
投下資金利益率も一応の意味は持っている。しかしそれは、あらゆる尺度のうち最悪のものである。尺度としてはほとんど際限なく伸縮自在である。
私は利益率の測定方法として、理論的には不備だが、当初の投資額に対する税引き前利益の割合を尺度として採用することを推奨したい。ただしインフレ時には、当初の投資額を現在価格にインフレ調整し、デフレ時には同じくデフレ調整する必要がある。
もちろんこの方法は明らかに雑である。だが少なくともこの方法は簡単である。しかも、同じように雑な測定であるにすぎない投下資金利益率の類いほど、緻密な数字であるかのような誤解を与えるおそれがない。
投下資金利益率とは、ROI(Return On Investment)のことを指しているものと思われます。(原文を見ていないので誤っているかもしれません)
そうだとすると、投下した資本に対する利益の割合を示すものなので、ドラッカーのいう「当初の投資額に対する税引き前利益の割合」と近いもののような感じです。
ただ、全社の決算書から計算するのと事業ごとに計算するのとでは意味が異なっていて、事業ごとの採算性を決算期を超越して計算するのであれば、より意味のある尺度となると説明しているのかもしれません。
2013/6/16