その他の重要な領域に関わる目標

マネジメント能力、人的資源、社会的責任という残りの三つの領域については、定量的には測定し得ないことを明らかにしておく必要がある。

したがって、それらの領域で必要とされるものは定性的な基準である。データではなく判断である。測定ではなく評価である。

マネジメント能力に関わる目標を定めることはかなり容易である。事業が存続し利益を上げるには、目標と自己管理による方向づけ、経営管理者の仕事の設計、組織の文化、組織の構造、明日の経営管理者の育成に関して目標を設定することが必要である。目標さえ明らかにすれば、それらの目標を達成したか否かは評価することできる。

社会的責任の領域における目標は、それぞれの事業のマネジメントでなければ決定することはできない。この領域は重要な意味をもつ。なぜならば、経営管理者は自らの小さな世界から外に出て、責任を持って社会に参画するからである。

あらゆる事業に共通する社会的目標がある。それは社会にとって生産的なことを行い、社会を強化し、その繁栄を増進することである。

人的資源に関わる目標については、われわれは今日のところあまり芳しい状況にはない。われわれはこの領域についてほんの少ししか知らない。この領域の問題を考え、意味ある評価測定の尺度を生み出すことは今日のマネジメントにとって大きな課題である。

8つの目標設定領域のうち、最後の三つについては本書の後半で論ずると言うことで、このセクションでは詳しくは述べていません。

ただ、尺度を決めて測定するということはあまり意味がなく、定性的ではあるが目標を定めてその達成度合いを判断・評価するという方法が良いということです。

最後の段落にあるように、人的資源の目標についてはドラッカーもこれが良いという主張をされていません。

例えば、マネジメントと労働組合との関係に関する目標を持つべきとはしていますが、人と仕事のマネジメントに関わる領域全体においては末端の小さな問題としていますので、全体像についてはそのヒントを19章から先の記述に期待します。

2013/6/17