目標設定の難しさは、いかなる目標が必要かを決定することにあるのではない。いかに目標を設定すべきかにある。
この決定を実りあるものにする方法は、八つの領域それぞれにおいて、測定すべきものを決定し、その測定の尺度とすべきものを決定することである。何を測定するかを決定することによって、目標が目に見える具体的なものになる。測定の対象となったもの以外は、視野から外され、頭から消える。
不幸なことに、企業活動に関わる八つの領域で使うことのできる既成の尺度は、おおむねいい加減である。われわれはマーケティングについてのみ適切な尺度をもつだけである。
利益というかなり明確なものについてさえ、われわれにはどれだけの利益率が必要かを決定するための手段はない。
イノベーションについても、さらには生産性についてはなおのこと、何を行うべきか以上のことはほとんどわからない。その他の領域においては、実現すべき目標や測定の尺度を明らかにするどころか、単に意図を表明する程度のことにとどまらざるをえない。
目標は八つの領域で必要であるとは前項で述べられたことですが、それぞれについて重要なのは、測定の尺度を決めることだと述べています。
どのように目標を設定しようとも重要なのは測定するものを決定することであり、それによって目標は具体的に認識されるようになりますが、逆に組織の構成員からは測定の対象となったもの以外は見向きもされなくなるので、それだけその決定には慎重を期する必要があるのでしょう。
誤った尺度を決めてしまうと、その副作用で目標を達成できなくなるという可能性が高まります。 しかし頼りないことに、それらの尺度には定まったものはなく、しかも「今後測定すべきものに関する知識や測定するための能力も大きく進歩するはずである。」と言っているように、このときのドラッカーも見つけられていないようです。
それぞれの事業体で工夫してがんばりなさい、試行錯誤して見つけていきなさいと言うことなのかもしれません。
2013/6/10