マネジメントはそれ自体が目的ではない。それは企業の機関であり、一人ひとりの人からなる。一人ひとりの経営管理者の目を企業全体の目標に向けさせることである。すなわち経営管理者のマネジメントにおいて第一に必要とされるものは、目標と自己管理によるマネジメントである。
経営管理者一人ひとりが必要な努力をし、求められる成果を生む。そのためには彼らの仕事が最大の成果をあげるよう組織されなければならない。したがって経営管理者のマネジメントにおいて第二に必要とされることは、経営管理者の仕事を適切に組織することである。
組織された集団は、組織としての文化をもつことになる。組織の文化は、それを最初に形成した人たちがいなくなったはるか後に置いても生き続ける。新しく入ってくる者の姿勢と行動を規定する。組織が卓越性として認め報いるべき者と、凡庸として無視すべきものを決める。そこで経営管理者のマネジメントに置いて第三に必要とされることは、組織に正しい文化を生み出すことである。
企業は一方においてリーダーシップと意思決定のための機関とともに、他方において点検と評価のための機関を必要とする。すなわち、経営管理者のマネジメントにおいて第四に必要とされるものは、CEO(最高経営責任者)であり取締役会である。
また企業は、自らの存続と成長のために準備しておくことを必要とする。すなわち、経営管理者のマネジメントにおいて第五に必要とされるものは、明日の経営管理者の育成である。
さらに、組織された人間の集団は組織の構造を必要とする。したがって、経営管理者のマネジメントにおいて第六に必要とされるものは、経営管理者の健全なる組織構造である。
フォードの衰退と復活の物語によって、マネージャーはオーナーのための助手ではなく、経営管理者として仕事をすることが必要であるということを学んできました。
いわゆるワンマン経営ではいずれ組織は行き詰まりを迎えてしまうので、複数のマネージャーがチームを組みそれぞれが企業全体の目標に対して貢献する責任を果たしていくことが組織を長持ちさせる上で必要なことなのです。
上記のように、経営管理者のマネジメントにおいて必要なことが、6つに分類整理されました。
これら6つのことがらについて、第11章から第18章に分けて詳しく見ていくことになります。
2013/7/5