組織の構造がこれら三つの要件を満足させるには、次にあげる二つの組織原理の一つか、あるいはその両方を使う必要がある。
第一に、組織の構造は可能なかぎり連邦型の組織によって活動をまとめるべきである。連邦型の組織とは、事業活動をそれぞれ自らの市場と製品をもつ独立採算的な事業ごとに組織するものである。
第二に、この連邦型の組織を適用できない場合に限って機能別の組織を使うべきである。機能別組織とは、事業プロセスの主要な段階ごとに組織を作るものである。
連邦型組織と機能別組織は、競合関係ではなく補完関係にある。ほとんどあらゆる企業がこの二つの組織原理を使う必要がある。二つのうちでは、連邦型組織のほうがより成果をあげ、より生産性が高い。ただし非常に小さな企業の場合には、企業自身が一つの製品別事業であるため、連邦型組織を使う必要はない。
本章では、組織構造として「連邦型組織」と「機能別組織」の二つについて、その特徴や適用の仕方などを述べているものです。
本書の約20年後に出版された大著「マネジメント」でも組織についての記述があります。「マネジメント」では、「機能別組織」「チーム型組織」「連邦分権組織」「疑似分権組織」「システム型組織」という五つの組織構造を取り上げていますので、より現在にマッチしているのは、「マネジメント」のほうかも知れません。
しかし、それら五つの組織構造ももとは本章で取り上げられている二つの組織構造から派生していったものだと思います。
連邦型組織というのは、いわゆる「事業部制」というものに近いと思います。一つの企業の中を独立採算的に分け、その事業が必要とする活動をまとめてしまうというものです。
一方で機能別組織というのは、購買部、設計部、製造部、販売部というように類似していると思われる活動をまとめた組織構造です。それぞれの部門では、その企業が社会に提供する複数の製品やサービスを扱うことになります。
それぞれの組織の特徴や強み、弱みなどは次のセクションから語られますが、上記にあるように、第一優先は連邦型組織であり、これが適用できない場合にのみ機能別組織を使うべしとしています。
2013/8/13