機能別組織を、類似のスキルごとのまとまりとすることは誤りである。機能別組織とは、プロセスの段階ごとの組織である。
機能別部門を類似スキルの集合として考えることがいかに間違っているかは、現実にそれら類似スキルを集めた典型的な機能別部門である経理部門やエンジニアリング部門の不満足な仕事ぶりによって明らかである。
大企業のいくつかは、伝統的な経理部門の機能を、人間一人ひとりのスキルや限界に従ってではなく、仕事の論理に従って分割しようとしている。また、大企業のいくつかは、エンジニアリング部門の組織について徹底的な検討を行っている。これまでのエンジニアリング部門の仕事を、道具によってではなく仕事の論理によって、その属すべきところに属させようとしている。
もちろん、これらのことを一刻も早く行うほど、よりよい組織の構造を実現できる。
機能別組織とは、第16章のような事業全体の活動を分析して成果に向けた活動を仕事のプロセスとして定義し、そのプロセスの段階別に組織したものであって、単に数字を扱う活動をまとめた経理部門とか、エンジニアリングという活動の名前が共通しているとかいうだけで、部門をつくってしまうのは誤った機能別組織だということです。
「典型的な経理部門には少なくとも三つの異なる機能がある。第一に他の部門が目標管理をできるようにするための情報提供の機能である。第二に、財務の機能である。第三に記録と補完の機能である。これら三つの機能に関わる原理や考え方はみな異なっている。そのため、例えば財務の考え方を情報提供の機能に適用するならば、経理部門の内部に際限のない対立を生むばかりでなく、他の部門との間に絶えざる摩擦を生むことになる。」
と述べ、単に同じデータを扱うとか数字を扱う能力がいるという理由でまとめてしまった典型的な経理部門の弊害を説明しています。
2013/8/14