利益には三つの役割がある。
第一に、利益は事業活動の有効性と健全性を測定する。
第二に、利益は陳腐化、更新、リスク、不確実性をカバーする。この観点から見るならば、いわゆる利益は存在せず、事業存続のコストが存在するだけである。
第三に、利益は直接的には社内留保による自己金融の道を開き、間接的には事業に適した形での外部資金の導入誘因となることによって、事業のイノベーションと拡大に必要な資金の調達を確実にする。
これら三つのいずれの機能も、最大ではなく最小に関わる概念である。したがって利益に関わる目標は、事業が上げうる最大の利益ではなく、事業が上げなければいけない最小限の利益を明らかにするものであることが必要である。
利益に関する目標をなぜたてなければならないのかについての記述です。
「第5章 事業とは何かー利益の機能」での記述を整理し直しているようです。
事業の有効性と健全性とは、それまでに行ってきた事業がどのくらい正しかったのかということでしょうから、過去の活動を測定する尺度であるというのが一つ目です。
第二の利益は存在しないと言うのはわかりずらい表現ですが、例えば資金の流出をともなわない減価償却費などは、損益計算書上も費用として計上しているわけですから、上記でいう更新をカバーするためにコスト計上するということになっています。
項立てのタイトルとなっているように、「どれだけの利益が必要か」という問いに対して、「必要とする額の資金を適正な方法で調達できるようになるためには、最低限これくらいの利益が必要である。」といえるようにならなければならないということなのです。
2013/6/15