複数の解決案から最善の解決策を選定するには、四つの基準がある。
第一に、リスクである。解決案から得られるものと、冒さなければならないリスクとの比較である。行動にはリスクが伴う。行動をとらないことにもリスクを伴う。
第二に、経済性である。解決案のうち最小の労力で最大の成果をもたらすもの、混乱を最小にとどめつつ必要な変化をもたらすものは何か。あまりに多くの経営管理者が、象撃ち用の銃を手にして雀を追う。逆に小銃を持って40トンの戦車に対峙する。
第三に、タイミングである。緊急を要するのであれば、何か重大事が起こっていることを組織中に知らせるような解決策が必要である。タイミングについての決定は体系的に行うことがきわめて難しい。分析に能力ではなく知覚の能力が必要とされる。
第四に、人的な制約である。意思決定の結果を実行すべき人たちほど重要な意味をもつ存在はない。彼らの視点、能力、技能、理解が、実行できることと実行できないことを規定する。
複数の解決策を並べ、どれを選定するのかを決める基準として、リスク、経済性、タイミング、人的制約という四つの視点で考えると良いと整理しています。
特に最後の人的な制約については、最善の解決策を採用した場合に、その実行に当たるべき人たちの能力以上のものを要求することがあります。
その場合には、「それらの人たちの能力や仕事の水準を引き上げることが必要になる。決定そのものの中にそのような仕組みを織り込む必要がある。さらには、そのような能力を持つ人を捜すことが必要となる。」としています。
つまり、選択した解決策が実行する人たちの能力とマッチしない場合には、その能力を育てるかその能力を持っている人を充てるかを解決策の中に織り込みなさいとしているわけです。
2013/10/24