本書は企業を三つの次元でとらえた。
第一に、自らの外部、すなわち顧客のために成果を生み出す経済的な機関としてとらえた。第二に、人を雇用し、育成し、報酬を与え、彼らを生産的な存在とするための機関としてとらえた。したがって統治能力と価値体系を持ち、権限と責任の関係を規定する社会的機関としてとらえた。第三に、社会とコミュニティに根ざすがゆえに公益を考えるべき公的機関としてとらえた。
私はGMでの調査を始めて直ちに、マネジメントするということは、第一に成果をあげることについて考え、第二に企業の中で共通の課題に取り組むべき人たちを組織することについて考え、第三に社会的な問題、すなわち社会的なインパクトと責任について考えることであることを知った。
本書本文は、1954年ドラッカーが44歳のときの著作ですが、まえがきは1986年に加筆されたものです。
大著「マネジメント」(1973年)との違いについて、この前書きの中で「『現代の経営』が読みやすい入門書を意図したのに対し、『マネジメント』はエグゼクティブの体系的入門書としてだけでなく、大学の教科書として、つまり総括的な決定版を意図したものである。」と述べています。
したがって、本書と『マネジメント』の内容には重複する部分も多いですが、より易しく書かれた内容になっています。
2013/5/6