「唯一の正しい目標」を探求することは、賢者の石を探し求めるように空しいだけではない。明らかに毒をなし、誤って人を導く。
マネジメントとは、事業上の多様なニーズと目標をバランスさせることである。
それでは、それらの目標とは何か。答えは明らかである。事業の目標は、事業の存続と繁栄に直接かつ重大な影響を与えるすべての領域において必要である。
それらの目標は、次の五つのことを可能とするものでなければならない。
なすべきことを明らかにする
なすべきことをなしたか否かを明らかにする
いかになすべきかを明らかにする
諸々の意思決定の妥当性を明らかにする
活動の改善の方法を明らかにする
利益の最大化という昔ながらの目標は、これら五つのことはおろか、そのいずれも満たすことができない。ゆえに目標として失格である。
目標を設定すべき領域は八つある。
マーケティング、イノベーション、生産性、資金と資源、利益、マネジメント能力、人的資源、社会的責任である。
第7章では、事業のマネジメントで最も重要な内容だと思われる目標設定について触れていきます。
目標の数は少ないほどわかりやすいですし、組織に浸透しやすいものですが、ドラッカーはそれに「明らかに毒をなす」とまで言って、警鐘を鳴らしています。
上に上げた八つの領域それぞれについて五つのことを明らかにするように目標設定をするならば、単純計算で40もの目標設定が必要になります。
それぞれの領域でどのような目標設定が必要かについては、これから細かく述べられているので、実際には40という数字ではないのですが、相当数に上ることは明らかですし、その設定においてはかなりの労力がかかりそうです。
この労力こそマネジメントに求められていることであり、だからこそ、日常のオペレーション上の意思決定は現場に任せて、マネジメントは事業の目標設定に力を注げとしているわけです。
2013/6/9