責任ある人

仕事で責任をもたせる方法は四つある。人の正しい配置、仕事の高い基準、自己管理に必要な情報、そしてマネジメント的視点を持たせる機会である。これらのすべてが必要である。

第一の、正しい配置のための真剣かつ継続的、体系的な努力の必要性については、動機づけの前提として既に述べたとおりである。

第二に、仕事について高い基準を要求することほど、仕事の改善に挑戦させるうえで効果的なものはなく、仕事と自己実現の誇りをもたらすものはない。

絶えざる努力と能力によってのみ実現される最高水準の仕事に焦点を合わせるとき、動機づけがなされる。このことは人を駆り立てるということではない。自分で自分を動かすようになるということである。そのための唯一の方法が、より高い目標に目を向けさせることである。

働く人が最高の仕事をするよう動機づけるには、マネジメント自身が、働く人の仕事に関わりのある領域において自らの職務に高い水準を定め、実現していく必要がある。

そして、働く人の仕事ぶりにとってきわめて重要な意味をもつものが、職場の整理整頓である。

最高の仕事を引き出すために必要なのは、満足させることではなく、責任を求めることだという前のセクションの説明を受けて、責任をもたせるための方法を4つのプロセスとして紹介しています。

そのうちの一つ目は、人を正しく配置することですが、これについては前章で述べられたとおり、「人の仕事を設計し、ひとかたまりの独立した仕事としてチームに割当て、そのチームに入れるべき人の組み合わせを探し続ける」ということでした。

第二の方法がこのセクションで述べられている「高い基準」です。

テイラーの科学的管理法では要素動作に分解して最も早く作業をできる熟練労働者の作業時間をもとに標準時間を定めたということですが、これに近い考え方だと思います。すなわち組織の中で最も高い水準の仕事を求めるということです。

しかし、機械の仕事ではなく、人の仕事ですから「判断し、計画し、変化する」要素がありますし、一人ひとりの役割も違っていて当然です。そうすると多数の働く人に適用する標準作業といったものよりも、一人ひとり異なった基準が必要になってきます。

それが上記でいう「目標」です。一人ひとりが自ら高い目標を掲げ、それに焦点を合わせて仕事をしている状態を作ることが大事だ、その手本を見せるのがマネジメントなのだ、と説いたのです。

第三、第四の方法についてはセクションを分けて次から説明があります。

2013/9/25