あらゆる経営管理者が、自らの上司が率いる部門全体の目標達成にとって必要なことに貢献する責任をもつ。すなわち第一に、上への責任をもつ。そこから自らの仕事の目標が規定されてくる。
第二に、あらゆる経営管理者が全体に対する責任をもつ。彼らは自らの部門に課された課題を分析し、目標を達成するために必要な活動を明らかにする。そして部下の経営管理者を協力させ、彼らの利益と企業全体の利益を一致させるよう助力する。
第三に、経営管理者は下への責任、すなわち部下たる経営管理者に対する責任をもつ。経営管理者たる者は、部下が彼らに求められていることを知り、理解できるようにする。部下自身が目標を設定することを助ける。そしてそれらの目標を達成することを助ける。
この下への関係を一言で表現するならば、補助が最も近い。事実、今日成功している企業のいくつかでは、経営管理者と部下との関係に関わる仕事を「補佐役」と定義している。
多層になっているマネージャー、いわば中間管理職の間の関係はどのようにあるべきかということに関して、上記のように上への関係、全体との関係、下への関係という三つの視点でそれぞれ責任を果たすことだ、と定義されました。
本章では、マネージャーの仕事の範囲は最大限の挑戦、責任、貢献を体現するような大きさであることが必要で、その責任はいわゆるスパン・オブ・コントロールの限界を大きく超える範囲をカバーしなければならず、それらの権限と責任はできるだけ現場に近い第一線に寄せ、上位マネージャーはその権限に属さないものを行うという役割分担で組織するのが良いとされました。
このように説明されるとマネージャーの仕事は一般に考えられているよりも相当困難なものに感じますが、きっとドラッカーは「困難な仕事だが、きちんと整頓し努力すればできるのだ」と言ってくれているのでしょう。
本章は、部下との関係を重要視しなければならないと、次のように結んでいます。
「経営管理者たる者の目は、常に上に向けて、すなわち全体としての企業に向けられる。しかし同時に、彼の責任は下に向けて、すなわち自らのチームの経営管理者に向けられる。経営管理者にとっては、部下との関係を責任として理解することこそ、自らの仕事を的確に組織するうえでおそらく最も重要なことである。」
2013/7/18