小企業や中企業に共通問題は、規模が小さすぎるために必要なマネジメントをもつことができないことである。特に中企業は、一流の経営管理者が魅力を感じるには小さすぎる。かといって、質量ともに必要なだけの経営管理者を自ら育成することは容易ではない。経営管理者の地位にあるものに対し、十分な挑戦の機会と仕事の大きさを与えられない。
小企業、中企業に典型的なもう一つの問題は、多くの場合、同族であることに由来する。もちろん能力のない者に地位を与えるという、堕落した慣行が発生しなければ問題はない。しかし同族企業では、「いとこの○○を食べさせなければならない。だから我が社で働かそう」という論理がまかり通る。これは大きな間違いである。一族以外の有能で意欲ある人がやる気を失う。
中小の企業にとって最も重要な原則は、行動のための意思決定に時間を追われて、計画したり、考えたり、分析したりすることをおろそかにしてはならないことである。中小企業のトップマネジメントは、年に一週間は、計画や反省のための会議に時間を割く必要がある。しかもそのような会議は社外で開き、マネジメントの上層部が全員参加することが必要である。
日本の中小企業に限らず、当時のアメリカでも同族企業は多かったようです。そして創業者の息子があとを継いで、その資源を食いつぶすということが起きていたのでしょう。
同族企業の運営に関して、「実力に基づかずに仕事を与えず、マネジメントの職にも就けないということを原則とし、さらに、外部取締役会を活用して、トップマネジメントの視野を広げると言うことを常に心がけよ」という趣旨の忠告をしています。
トップからマネージャーまでの合宿のような会議を行いなさいとしていますが、この会議では、「来るべき5年間において必要とされることに焦点を合わせ、あらゆる領域について目標を設定する。それらの領域のそれぞれについて、トップマネジメントの誰が責任をもつかを決定する」ことを行うべきだとしています。
上記にあるように、日常の意思決定に追われて長期の視点を忘れがちだからこそ、会社を離れて集中的に検討した方が良いと勧めているのです。
2013/8/27