組織の構造づくりにあたって最も重要なことは、それが満足させるべき要件を明らかにすることである。組織の構造にかかってくる典型的な圧力や張力はなにか。組織の構造は、いかなる成果を可能としなければならないか、である。
これらの問いには三つの答えがある。
第一に、組織の構造は成果のためのものでなければならない。組織はあらゆる活動を成果へと伝導するトランスミッションである。個々の活動を成果に結びつけるうえで、そのつどスピードや方向を変えずにすむものほど効率的である。
第二に、組織の構造は、必要とされるマネジメントの階層の数を最小限にし、命令系統を最短にするものでなければならない。マネジメントの階層が一つ増えるごとに共通の方向性と理解が困難になっていく。目標をねじ曲げ、関心の方向を間違えさせる。
第三に、組織の構造は、明日のトップマネジメントの育成と評価を可能にするものでなければならない。人は若いうちに、すなわち新しい経験から学ぶことのできるうちに、自立的な部門においてマネジメントの責任を経験させることが必要である。補佐として信頼でき、かつ仕事のできる者が、独り立ちさせられると失敗する例はきわめて多い。
組織は成果をあげる(社会における役割を果たし続ける)ことが目的なので、その手段としての組織が行う活動一つひとつは成果に結びついていなければならないという、ごく当たり前のことが第一の要件となっています。
しかし、組織の中には時間が経過するごとに官僚的な仕事(ルールをつくる、守らせる、管理するといった仕事)が増えていくので、管理的な能力ではなく成果によって評価される者の数を多くするように意識し続けなくてはならないということです。
また同様に、組織は時間が経つごとにマネジメントの階層が増えていきがちです。組織構造は常にあるべき姿になっているかどうかを確認して、増えてしまったマネジメント階層を最小限にすべしというのが第二の要件です。
第三の要件は、現在の成果というよりは将来にわたって成果を上げ続けるために、人を育てる機能を組織構造の中に織り込んでおくべしというもので、たくさんの若い人たちに責任をもたせた仕事にチャレンジさせマネジメントの能力を評価しておかなければならないということです。
独立した事業全体のマネジメントをすることを通じて、その人の能力が開花することもあるでしょうし、逆にそこで失敗した場合には、若ければ別の仕事で組織に貢献できる道を残すことができるからです。
2013/8/12