第一に、現場管理者は自らの活動について明確な目標を必要とする。
それらの目標は、事業上の成果についての目標であると同時に、基本的な信条や原理の実現についての目標でなければならない。そして、当面のニーズと長期のニーズをバランスさせた目標でなければならない。
第二に、現場管理者は、昇進の機会、仕事上の明確な基準に基づく昇進制度を必要とする。
いくつかの調査によれば、現場管理者のおよそ70%が立派な仕事をしても昇進の見込みがないと考えている。現場管理者に昇進の機会を与えることは、彼らが経営管理者として仕事を行っていくうえでも重要な意味をもつ。昇進の機会の有無が、彼らが最高の仕事へと動機づけられるか、問題を避け当たりさわりなくやっていこうとするようになるかを決める。
同様に、現場管理者は、一般の従業員から登用しなければならない。一般従業員から現場管理者への昇進の機会を奪うことは、動機づけを破壊する。
第三に、現場管理者は経営管理者としての地位を必要とする。マネジメントに対し部下を代表できるだけの仕事の大きさを持つことが必要である。マネジメントが彼の話に耳を傾け、彼の主張を真剣に検討するだけの重要な地位にいなければならない。
まとめると、①明確な目標②昇進の機会③マネージャーとしての地位、ということになります。
目標について補足すると、目標を達成するための権限、手段、また達成状況を測定するための尺度を同時に持つ必要があります。つまり、目標達成に必要なものを彼らのコントロール下に入れなければならないということを同時に意味しています。
昇進の機会はすべての現場管理者に与えなければならないですが、全員を昇進させるだけのポストは普通ありません。それでも、優れた仕事をすれば昇進の機会があることを認識していることが重要なのだと、ドラッカーは言っています。
そして、現場管理者から昇進させるものを選ぶということは、マネージャーになるべき者の教育を現場管理者から始めなければならないということだとも述べています。
最後に、マネージャーとしての地位については、現場管理者からの昇進とは少し矛盾しているように思えますが、多分、一般従業員→現場管理者→マネージャー→上級マネージャー→マネジメントといったヒエラルキーを想定しているものと思われます。
現場管理者とマネジメントの距離が遠いと、実現不可能な事業目標が立てられたりすることになりさらに現場が疲弊することになるため、現場管理者とマネジメントは直接話をできるような地位にしなければならないとしたのです。
2013/10/2