社名を与えたのは、リチャード・シアーズだったが、シアーズを近代企業に育てたのは、ジュリアス・ローゼンワルドだった。彼は、経営権を握った1895年から、シカゴに「発送工場」を作った1905年までの10年間に、シアーズを近代企業に育て上げた。
彼は市場を分析した。メーカーを組織的に育成した。商品を忠実に紹介する定期刊行のカタログを発行した。そして「満足保証。委細かまわず返金」という経営方針を生み出した。また、彼は生産的な人間組織を作り上げた。他企業に先んじて、マネジメントに最大限の権限を与えるとともに、業績に対する全責任を課した。さらに、やがて利益を割いて前従業員に自社株を与えた。
前項で挙げた五つのイノベーションは、ローゼンワルドによって行われたと紹介されています。
それをわずか10年の間にやったことが偉業だとされているのです。ドラッカーの著作「イノベーションと企業家精神」では、イノベーションの成果を得るまでには30年かかるとされているので、相当早いイノベーションだったことがわかります。
wikiによると「1895年から1907年までの間に、ローゼンウォルドは副社長と財務を担当して会社を引っ張り、年商は75万ドルから5千万ドル以上まで上昇した。」ということですから、とてつもない拡大です。
これを称してドラッカーは「こうしてローゼンワルドはシアーズの父となったばかりでなく、アメリカの経済成長の主因となる流通革命の父となった。」としています。
2013/5/23