人事管理論と人間関係論

今日一般に理解されている人事管理論は、第一次世界大戦とともに生まれた。それは戦時経済における新規労働者の採用、訓練、賃金の問題とともに発展した。この第一次世界大戦が終わって35年以上が経つ。しかし今日われわれが人事管理について知っていることは、すべて当時行われていたことである。

確かにこの間、理論の精緻化は行われた。しかしほとんどそれだけである。たとえが今日、その大部の教科書に書かれていることは、労働組合に関する章を除けば、すべて人事管理論の創始者の一人であるトマス・スペイツが1920年代の初めに書いた論文に出ている。

人間関係論も第一次世界大戦を契機として発展した。人間関係論は1928年、ハーバード大学のエルトン・メイヨー教授とそのチームによって行われた有名なホーソン実験とともにブームを迎えた。今日に至っても人間関係論の分野では最も進んだ、かつ完全な研究とされている。

いかなる体系といえども、最初から完全な姿で生まれてくるはずがない。人事管理論と人間関係論という二つの体系もまた、その誕生のときから成熟していたなどということはありえない。

したがって人事管理論と人間関係論の土台の上に、その後いかなる建物も建てられていないという事実は、そもそも土台自体が正しくなかったのではないかと疑うに十分な理由となる。

人と仕事のマネジメントをどうしたら良いのかという問題に対して理論はどう答えているか、ということについての考察を加えた章です。

最初に当時大学などで組織マネジメントについて研究し、講義されていたのが、人事管理論と人間関係論とそこから派生した産業心理学、産業社会学などだったと紹介されています。

しかしこのセクションでは、人事管理論と人間関係論はどちらも完成度は低く年月が経っても発展しないとして、否定的な意見が述べられたものです。

2013/9/12