経営管理者には二つの特有の課題がある。彼ら以外の者では果たせない課題である。それらを課された者はすべて経営管理者であるという課題である。
第一の課題として、経営管理者は、部分の総計を超える総体、すなわち投入された資源の総計を超えるものを生み出さなければならない。
経営管理者は、自らの資源、特に人的資源の強みを引き出して成果を上げさせるとともに、それらの資源の弱みを意味のないものにしなければならない。これが、組織として部分の総計を超える総体を作り出す唯一の方法である。
第二の課題として、経営管理者はあらゆる意思決定と行動において、当面するニーズと長期のニーズを調和させなければならない。この二つのいずれを犠牲にしても企業を危機に陥れる。
経営管理者はいわば目前の石臼に鼻を突っ込みながら遠くの丘を見るという、かなり軽業的なことを行わなければならない。
第27章から第29章までは、第Ⅴ部「経営管理者であることの意味」としてマネージャーの仕事についての解説されています。
上記のようにマネージャーの仕事の課題として「人の強みを引き出すこと」「短期と長期のニーズをバランスさせること」という二つを挙げています。
第一の課題に関して、上記に抜き出した記述以外にもマネージャーに要求されていることがあります。
それは、「事業のマネジメント、経営管理者のマネジメント、人と仕事のマネジメントの三つをバランスさせること」であり、これらのバランスを欠いた仕事では全体の事業を弱体化させてしまうと論じています。
第二の課題にも記載されているようにかなり軽業的、すなわち難しいことを要求されているのだということが分かります。
しかし、マネージャーに要求されているこれら難しい内容の前に立ち尽くすだけで行動を起こさなければ、役割を果たすことはできません。これらの要求を理解し、意思決定し、行動していかなければならないのです。
2013/10/14