ある人は私にこういった。「4週間かけて在庫を減らす。次に4週間かけてコストを下げる。次の4週間は人間関係に力を入れる。その跡は顧客サービスである。その頃には在庫は元に戻っている。仕事をする暇もない。誰もが、先週は在庫について、今週は顧客の苦情について話し、考え、説教する。他の仕事については知ろうともしない。」
キャンペーンによるマネジメントを行っている組織では、キャンペーンに従って本来の仕事の手を抜くか、キャンペーンをサボって本来の仕事をするか、いずれかしかない。いずれにせよ、やがて誰も、オオカミだという声に耳を貸さなくなる。
キャンペーンによるマネジメントは、当座しのぎのマネジメントと同じように、混乱の兆候である。無能の証拠である。いかに計画するかをトップマネジメントが知らないことを示す。何を期待すべきか、いかに方向付けすべきかを知らないことを示す。人を間違った方向に導いていることを示す。
前セクションで説明したように、事業全体の目標は八つの領域で設定することになっています。各部門のマネージャーが設定する目標もこの事業全体の目標との関連が明らかでなければなりません。したがって、複数の(多数の)目標設定を行うことになります。
複数の目標を同時にバランスよく達成することは大変です。だからといって、上記の例のように一月に一つずつやりましょうというような方法では失敗するという警告がこのセクションです。
すべての目標が必ずしも同時並行的に進むわけではありませんが、逆に一つずつ達成していくような性質のものでもありません。
目標を掲げて自らや自らの部門がどの位置にいるのかを常時監視し、方向修正していく、それはマネージャーの姿勢であったり企業文化であったりするようなものだと思います。
目標に向かう姿勢などを理解していないと、上記のように誤ったマネジメントを行ってしまい、「無能なマネジメントだ」とまでドラッカーに切り捨てられてしまうのです。
2013/7/10