マネジメントの第二の機能は、人的資源を使って生産的な企業を作ることである。具体的には経営管理者をマネジメントすることである。
企業は資源の機械的な集合体ではないが、成長可能な資源は人的資源だけであることが明らかである。他の資源はすべて機械的な法則に従う。利用の巧拙はあれ、産出が投入を上回ることはない。われわれが利用できる資源のうち、成長と発展を期待できる者は人だけである。
経営管理者とは、企業にとって最も高価な資源である。今日大企業において10年、12年の経験を持つ優秀な技術者や経理担当者は、それまでの企業の成功に対する貢献を差し引いても、5万ドルの直接投資に相当する価値があると言われている。
あらゆる事業において、経営管理者への投資は、たとえ数字では表せなくとも、いかなる資源への投資よりも大きい。この投資を十分に活用することが最も重要である。
経営管理者という言葉が何度も出てきますが、原文ではmanagerですので、特に経営者層やトップマネジメントを指している訳ではありません。
経営資源といったとき、「ヒト、モノ、カネ、情報」などという分類がありますが、ドラッカーは特に人的資源に注目して、成長する資源は人だけなのだから組織が成果を出すためにも人を成長させよ、と言っています。
1954年当時の5万ドルが現在ではどのくらいかというのは難しいですが、軽く10倍にはなっているでしょう。長く努めてくれている人たちはそれだけの価値があるのだから、大切に育てて十分に活躍してもらわなくてはならないということなのです。
2013/5/14