アメリカのマネジメントの世界では、あらゆる経済的資源のうち、人的資源の活用が最もうまくいっていないとされている。経済的な成果を改善するための最大の機会は人にあるということが、ほとんど自明のこととされている。
事実、企業が成果をあげられるか否かは、働く人たちに成果を上げさせる方法、すなわち仕事のさせ方如何にかかっている。したがって、人と仕事のマネジメントこそ、マネジメントの基本的な機能の一つである。
人の働き方は変化していく。肉体的な力だけを供給していた機能の未熟練労働者は、今日は半熟練の機械工となっている。他方、熟練労働者は、技術者としてあるいは現場管理者として働くようになっている。そして今日の企業には、新しい職種、すなわち事務員、専門職、経営管理者がいる。
オートメーション化された工場のフロアには働いている人は一人も目にしなくなるかもしれない。それでもなお仕事は人によって行われる。オートメーション化は、人の数の減少という量的な変化ではなく、労働集約的な仕事から頭脳集約的な仕事への移行という質的な変化をもたらす。
第19章からは本書の第Ⅳ部「人と仕事のマネジメント」に入ります。本章のIBM物語を始めに、人を雇うということ、人事管理、仕事への動機づけなどを論じていきます。
IBMは現在ではコンピュータ業界の巨人ですが、wikiによると本書が著された当時(1954年)は、パンチカード関連事業からタイプライター事業などを行っていて、第二次世界大戦中から海軍や空軍のコンピュータを開発するようになっていったようで、事業が拡大すると同時に大きく変化をしていった時代です。
上記で抜粋したように、事業の拡大に会わせて人の働き方をどんどん変化させなくてはならないという課題を突き付けられていたのです。
IBMは、それに対応するよう人を育成し変化させていくということに挑戦し成功していった例として取り上げられたものと思われます。
2013/9/2