今日、そのような手法は三つある。事業のマネジメントにとってはそのいずれもが役に立つ。
第一の手法は、循環のいかなる段階にあるかを考えることなく、単に経済は常に変動するものであると仮定することである。過去の経験から想定される最も急激かつ最悪の状況を想定することによって、意思決定そのものを景気循環に関わる推測から解放することである。
第二の手法は、すでに起こっていはいるが、経済への影響がまだ表れていない事象に基づいて意思決定を行うことである。将来について予測する代わりに過去の事象、しかし経済的には影響の表れていない事象に焦点を合わせる。経済の底流となる事象を発見しようとする。
第三の手法は、予測にともなうリスクを小さくするための手法、趨勢分析である。底流分析が将来の事象についてなぜ起こるかを考えるのに対し、趨勢分析は、どの程度確実に、いつ起こるかを考える。
第一の手法は、経営環境は今後よくならず、現在は最悪でさらに悪くなるという前提で考えておけということです。
第二の底流分析と、第三の趨勢分析はそれぞれが他方を補うものなので、両方の分析が必要だとしています。
底流分析は、人口構造の変化のように既に起こっていて、やがて経済に影響をあたえることになる非経済的な事象を探すという手法です。
趨勢分析は、たとえば一世帯あたりの電力消費量や年収あたりの生命保険料のような数値は長期的には一貫した傾向をもつというような例で説明され、事業に密接な関係を持つ特定の現象の趨勢を発見することです。
「これら三つの方法は、少なくともマネジメントがいかなる予測のもとに事業の目標を設定したか、その予測が合理的なものであったか否かを明らかにする。そして、その予測がはずれたり、あるいはずれて起こったりした場合、いつ目標を見直すべきかを教える。」としています。
2013/6/22