成長段階を診断する

企業の成長段階を診断するための方法が、活動分析であり、意思決定分析であり、関係分析である。これら三つの分析は、マネジメントの姿勢と行動を変えさせるための唯一の手段でもある。まず、これらの分析は、一つひとつの仕事の優先順位を明らかにする。

たとえば、意思決定分析を行うならば、分権化していたかのような大企業の社長も、検討すべき長期的な問題があまりに多く、事業部長のオフィスで時間つぶしなどしていられないことを認識させられるに違いない。

また、関係分析を行うならば、「従業員との親密な関係」を保つことが、もはや自分の仕事ではないことを認識させられるに違いない。

成長とは成功の結果である。良い仕事をしているからこそ企業は成長し、製品は需要に適応する。企業は成長することによってのみ、顧客のニーズに応えることができる。

だが、成長の問題は、成功によってもたらされるところに難しさがある。一度成功すると何事も容易に見えるという人間一般の心理からしても、成長によってもたらされる問題は常に難しい。彼らは今日の成功をもたらした姿勢と行動が、明日の成功をもたらすと考えるからである。

三つの分析は、組織構造をどのようにすべきかと言うことを論じた第16章で既に述べられました。

第16章ではこれらの分析によって正しい組織構造を見つけようとしていましたが、本章ではこれらの分析をすることによってのみ、もはやこれまでのやり方では問題が解決できていないとか、これ以上の成長は見込めないことが認識でき、マネジメントの人間にこれまでのやり方を捨てさせられる可能性があるとしています。

ただそれでも、最後の段落で述べているように、正しい仕事をしたから成功し、成功したから成長してきているわけですから、これからも同じやり方で成長できると思うのも当然です。

だからこそ、成長の問題は不連続の現象だということを忘れずに、成功しているときにこそ三つの分析を行い、次の段階への移行すべき時期ではないか、姿勢と行動を変えるべき時期ではないかと考えることが必要になるのです。

2013/9/1