これまでのところ「われわれの事業」の本質についての問いは、すべて現在に関するものだった。しかし「われわれの事業は何になるか」についても問いを発し、それに答えるには次の四つのことを明らかにすることが必要である。
第一に、市場の潜在的な可能性と趨勢である。市場や技術に大きな変化がない場合、われわれの事業は5年後、10年後にどこまで大きくなることを期待できるか。そしてそれを決定する要因は何か。
第二に、経済の発展、流行や好みの変化、競争の変動による市場の変化である。
第三に、顧客の欲求を変化させ、新しい欲求を想像し、古い欲求を消滅させるイノベーションの可能性である。
第四に、今日のサービスや製品によって満足させられていない顧客の欲求である。
経営環境の分析手法として、SWOT分析という方法があります。強み (Strengths)、弱み (Weaknesses)、機会 (Opportunities)、脅威 (Threats) の4つに分けてそれぞれ要因を洗い出し、組み合わせによって企業の進むべき道・戦略を見いだそうとする方法です。
機会と脅威について分析するのは、ドラッカーの言う上記の四つの分析によく似ています。
今の顧客が10歳年をとってもまだ顧客でい続けてくれるだろうか、TPPに参加したら顧客はどう動くだろうか、もっと便利な道具が安く手に入るとしたら顧客は欲求を変化させるだろうか、というような問いに答え続けることが必要だと言っているわけです。
2013/6/6