目標の達成に関しては、目先すなわち2、3年先と、その先の将来すなわち5年以上先との間のバランスを考える必要がある。このバランスは管理可能な支出についての予算によって実現される。
近い将来と遠い将来のバランスに影響を及ぼす意思決定は、すべて管理可能な支出についての決定によって行わなければならない。
管理可能な支出とは、減価償却費、設備管理費、設備更新費、設備合理化費、設備拡張費、研究費、製品開発費、設計費、マネジメント関係人件費、経営管理者育成費、販売組織関係費、販売促進費、宣伝費、アフターサービス費と、人事管理費、特に教育訓練費などである。
管理可能な支出については、長期的な視点が必要である。あらゆる活動が短期間だけ強化しても成果は上がらない。しかも支出の急激な減額は、長年築いてきたものを一日で壊す。
管理可能な支出についての5か年予算は、5年以内という近い将来において事業上の目標を達成する上で必要とされる支出と、その5か年が経過した後にも事業を維持する上で必要とする支出をすべて明らかにする必要がある。
このセクションの最初に、50年後に伐採するために今日木を植えなければならない製紙会社もあれば、衣料品メーカーにとっては来週の棚卸しでさえ遠い将来であり得るとの例を出し、事業の性格によって目標の設定期間は異なることが当然であるとしています。
しかし、それでもドラッカーのいう短期とは2、3年先のことを、長期とは5年以上を指すようです。
企業決算は一年ごとに行うのですが、それとは関係なく一つひとつの目標設定期間を決めて(おそらくは決算期間より長い期間)、事業をマネジメントしなければならないということなのです。
管理可能な支出についての記述がたくさん出てきますが、これは、この費用の5か年予算をたてることで、マネジメントの意思、すなわち組織が向かうべき方向を組織の構成員に伝えることができるからだと思います。
2013/6/18