利益は、マーケティングとイノベーションと生産性に関わる仕事ぶりの結果である。
利益の第一の機能は、仕事ぶりを判定するための尺度であり、事業活動の唯一の評価基準である。
利益にはこれに加えて第二の重要な機能がある。経済活動はその本質として未来に焦点を合わせる。そして未来について唯一確かなことは、その不確実性すなわちリスクにある。企業は事業に伴うリスクに備えるために、余剰を生み出さなければならない。リスクに備えるべき余剰の厳選は一つしかない。利益である。
しかも、事業は事故のリスクだけに備えればよいわけではない。社会には、いくつかの企業が損失を出して消滅していくという経済的な新陳代謝が不可避である。利益を挙げられないたの事業の損失の穴埋めにも貢献することが必要である。
企業は、教育や防衛などの社会的費用に貢献する必要もある。税金を納められるだけの利益をあげる必要がある。
第5章は最初に、利益の最大化を目的とすることについて否定し、次に企業の目的は顧客の創造であり、そのための活動としてマーケティングとイノベーションという基本的な機能をもたなくてはならず、さらにもてる資源を最大限に生かして生産性を上げなくてはならない。という流れで記述されています。
したがって、利益はそれまでの活動が正しかったのかどうかを判定する尺度になるというのが、第一の機能だとしています。
さらに、企業にとって第一の責任は存続することであるが、事業活動は座っている椅子の脚をノコギリで挽くことに似てリスクをとることによって糧を得るので、それに備えるためには利益を生み出さなくてはならないと述べています。
どのくらいの利益を上げるべきなのかについて、ドラッカーはこの項で「未来のリスクをまかなうための利益、事業の存続を可能とし、富みを生み出す資源の能力を維持するための最低限度の利益を上げることは、企業にとって絶対の条件である。」と述べていますが、この必要最低限の利益というのは、一般に考えられているよりも遥かに多額の利益を指しているようです。
2013/6/1