いかなる事業も、より大きな経済的状況の一部として存在する。したがって、いかなる事業計画も経済情勢を無視することはできない。
しかしマネジメントが必要とするものは、通常の意味における景気予測ではない。必要なのは、景気循環への依存から自らの思考と計画を切り離してくれる手法である。
現在は景気循環のいかなる段階にあるか、誰が知っているのか。経済学者の予測の的中率は高くない。企業人の予測の的中率もさして高くない。しかも、景気予測が正しく行われるとするならば、そもそも景気循環に注意せよという助言に意味がなくなる。
前のセクションで、事業の根本に関わる基本的な意思決定の成果が出るまでの時間が長くなっているので、ヤマ勘ではない合理的な評価に基づく推測を行うべし、という助言がありました。
このセクションでは、その合理的な推測とは、景気予測のことではないと注意しています。
そもそも景気予測の的中率は高くないし、景気循環の存在さえ疑わしいとのことです。
「企業人は景気循環に焦点を合わせているかぎり、景気循環の心理に支配される。いかに優れた意図を持ち、経済学のいかに優れた分析能力を利用しても、間違った決定を行うことになる。」と述べています。 そして、必要とされているのは景気を予測することなしに、決定を行うことができるような手法であり、それは次のセクションで説明されています。
2013/6/21