あらゆる問題について、いくつかの解決案を作成することが不変の原則である。さもなければ、間違った二者択一の罠にはまる。
危険は、極端なものを強調しがちであるところにある。われわれは「白か黒か」と言うとき、単に両極端についていっただけであるにもかかわらず、あらゆる色についていったつもりになる。
複数の解決案を考えることそ、それまで当然のこととしてきた前提に光を当て、調べ、その有効性を調べざるを得なくするための唯一の方法である。
もちろん、複数の解決案を見つけようとしても、元々欠けている想像力を新たに生み出すことはできない。しかしわれわれのほとんどは、実際に使っているよりもはるかに大きな想像力を持っている。心の目も訓練し、鍛錬し、発達させることができる。そのための方法が、複数の解決案を求め作り上げることである。
ある一つの解決策は常に検討しなければならない。それは、いかなる行動もとらないという解決案である。何も行動しないということは、いかなる行動にも劣らず立派な決定である。必要のない手術を行わないことこそ、一流の外科医の証明である。
特に組織に関わる問題については、何も行わないという解決案について検討することがきわめて重要である。なぜならば、組織に関わる問題においてこそ、過去のニーズによってポストを決めるという伝統が、マネジメントのものの見方や考え方に最も深く根付いているからである。
戦略的な意思決定の第三段階は、解決案の作成です。問題を分析し(決定要因、必要条件、制限事項を洗い出し)、問題を分析し(分類)た後、複数の解決案の作成をします。
ここで注意すべき点について、上記のように、間違った二者択一にならぬよう、想像力を豊かにあらゆる方面から解決策を検討します。
両極端だけを比較してどちらが良いかということを考えても、すべての選択肢がその両極端の間にあるとは限らないからです。
想像力について、「心の目」という他では見られない表現を使っていますが、定量的には測れないが、訓練や鍛錬によって能力は伸びるものだと理解していたドラッカーの意図を感じます。
また、特に人事関係の問題については、そのポストを廃止すること(いかなる行動もとらないという選択肢)を常に用意すべきだ、と注意を加えています。それは、特にマネジメントの階層については、自動的にふくれあがるおそれがあるからとしています。
2013/10/23