経営管理者は最も稀少な資源

経営管理者をいかにマネジメントするかによって、事業の目標が達成されるか否かが決まる。人と仕事をマネジメントできるか否かも決まる。なぜならば、働く人の姿勢は、何にもまして経営管理者の行動を反映するからである。働く人が成果をあげるか否かは、主として彼らの上司たる経営管理者が、いかにしてマネジメントされるかにかかっている。

経営管理者であることは、企業全体の業績に対し責任を持つということである。この責任を持つことを期待されていないものは経営管理者ではない。

経営管理者を悩ませる上との関係に関わる問題、すなわち自分が何を期待されているかについての不安や自分の考えをわかってもらい、計画を承認してもらい、活動を重視してもらうことの難しさなど、直属の上司との関係、さらには他部門やスタッフ部門との関係は、まさにすべて経営管理者のマネジメントに関わる問題である。

第10章から第18章までは、本書の「第Ⅱ部 経営管理者のマネジメント」として中核を占めている部分です。

最初はフォード物語ですが、その導入として経営管理者(マネージャー)が事業にとってとても重要であるということから始まっています。

経営管理者を育てるには時間がかかるので企業にとってはとても高価な資源ということができます。本書が著された1954年当時は工業化社会が始まっており、オートメーション化が進んできている中、今後ますます多くのマネージャーが必要となると予測しています。

そういう環境の中、企業における人間組織についての検討は、一般従業員の仕事に関わる問題よりも、経営管理者(マネージャー)のマネジメントに関わる問題から着手せよと助言しているのです。

2013/7/2