戦術的な意思決定と戦略的な意思決定

経営管理者はあらゆることを意思決定を通して行う。それらの意思決定は日常業務として行われる。

問題の解決だけを重視してよい意思決定は、さして重要ではない日常の戦術的な意思決定である。所与の状況や満足させるべき条件がともに既知の単純なものであれば、問題の解決だけが唯一の必要とされるものとなる。その場合、意思決定の基準は通常経済的な要因だけである。

重要な意思決定、すなわち大きな意味をもつ意思決定は、戦略的な意思決定である。戦略的な意思決定には状況を把握することが必要である。

戦略的な意思決定で重要なことは、正しい答えを見つけることではない。正しい問いを探すことである。間違った問いに対する正しい答えほど、役に立たないものはない。

戦略的な意思決定には五つの段階がある。問題の理解、問題の分析、解決案の作成、解決策の選定、効果的な実行である。

マネージャーの仕事は意思決定だというほど、その仕事の中ではウエイトの高いものとして扱われています。

意思決定には二種類あり、さして重要ではない影響範囲の小さい戦術的な意思決定と、重要で影響範囲の大きい戦略的な意思決定とに分けられています。

戦術的な意思決定については、ほとんどの場合、満たすべき条件が決まっているので、最も効率的な方法を選択していればまず間違えようのない問題を扱うという性質のものです。

事業の目標や手段に関わることや、生産性に影響を持つ手段に関わることなど、自分のテリトリーを超えて全体の状況を変えるようなものが戦略的な意思決定で、マネジメント階層が高くなるほど、戦略的な意思決定のウエイトが高くなるのです。

「意思決定のプロセスにおいて決定的に重要なことは、各部門や各階層において行われた意思決定が互いに矛盾しないようにすることである。また事業全体の目標と調和するものにすることである。」というように、複雑なことをたくさん考えなければなりませんから、その意思決定には時間が必要となります。

ドラッカーは、どのような順番で考えていくべきかについて、五つの段階を定義し、そのプロセスを次のセクションから順に解説しています。

2013/10/20