連邦型組織とは、できるだけ多くの事業を独立した事業として組織しようとする原理である。
連邦型組織のもとで独立した事業部の大きさは千差万別である。一方の極に従業員50人以下、年間売上げ50万ドル以下のシアーズの小店舗がある。もう一つの極には従業員20万人以上、年間売上げ40億ドルのGMのシボレー事業部がある。
連邦型組織を成功させるには、守らなければならない条件がある。すなわち、単位組織の利益の総和が企業全体の利益である。しかもそれら単位組織の利益は、経理操作による利益ではなく、市場の客観的、かつ最終的な判定の結果による本当の利益である。
企業全体に利益をもたらすために、単位組織は自らの市場をもつ、市場は地域別であっても製品別であっても良い。産業によっては同じ地域に同じ製品の市場が二つ以上あることがある。
同じ椅子であっても、法人顧客向けの市場と一般消費者向けの市場は別の市場であって、流通チャネル、価格、購入方法などが異なる。小売り用家具と法人用家具のそれぞれについて別の事業部を組織し、急速に成長する家具メーカーの例もある。
連邦型組織における単位組織とは、それぞれの事業部を指すわけですが、それぞれの単位組織で独立した市場をもち利益を上げることができるようになっていなければなりません。
このことについて、ドラッカーはGMのスパークプラグ事業部の例をあげて説明しています。
「GMのACスパークプラグ部品事業部は完全に独立した事業である。製品を交換部品として社外すなわち一般ユーザーに、あるいは製造部品としてGMの競争相手である自動車メーカーに売っても良い。この事業部は独自に原材料を購入し、独自にエンジニアリングと設計を行い、独自に生産を行っている。GMの研究施設さえあまり使っていない。製品検査、消費者調査についても社外の力を借りている。」
GMという自動車メーカーの部品製造工程という機能別部門としてしまうと、完成車への部品供給がその組織の仕事になってしまいます。
しかし、部品事業部として独立採算を求めると、事業部としての製品で売上げと利益を出すために組織の外へと市場を求めるようになり、事業部自体が成長するとともに、会社全体も成長するようになる、すなわち、単位組織の成長が企業全体の成長に直接つながるという構造となるわけです。
2013/8/17